きりん録

アイドルと映画と雑記

MIGMA SHELTER RAVE AGAINST 01が新時代のレイヴ配信だった

f:id:ayarieshon:20200710220833j:plain

 

MIGMA SHELTER RAVE AGAINST 01

 その名の通り、コロナ禍という逆境に反旗を翻すようにミシェルは新時代のオンライン配信ライブ(レイヴ)の可能性を強烈に提示してくれた。

 

f:id:ayarieshon:20200710183241j:plain

「家でアタマぶっ壊れるまで踊れ!」

 ミシェルの配信ライブというと先日の大阪・味園ユニバースの空間を活かした「NO ALICE, NO TOUR. ~ほなツアーちゃうやないかい~」が記憶に新しいが、今回の「RAVE AGAINST 01」は完全にオンライン配信を前提とした作りになっている印象を受けた。誤解を恐れず言うならば、”出し惜しみをしない配信レイヴ”。メンバーのステージングは言うまでも無いが、当初観客ありレイヴまでお預け予定だった新衣装やミシェルの世界観を一層引き立てるライティングやステージセット、無観客だからこそ実現できた大胆なカメラワーク、趣向を凝らしたライブ構成など、”徹底的に獲りに行く姿勢”は枚挙にいとまがない。

 配信という形式はライブアイドルにとって大きな壁になりがちだが、ミシェルは現場で鍛え上げてきた盤石なステージ強度を保ちながら、配信に特化した魅せ方で”新時代のレイヴ”を届けてくれた。

 とりわけレイヴ三部構成の総力戦っぷりが凄まじかった。序盤には盛り上がり必至のミシェルの代表曲を名刺代わりに集中砲火(しかも耳馴染みの無い繋ぎばかり)したと思えば、中盤にはニューアルバム『ALICE』からの新曲を7曲も披露して新しいミシェルのセカイを魅せた。そして、終盤には6人体制初となるMEGA MIXを披露。そもそもが唯一無二であるミシェルサイトランスを同時に最大三つ組み合わせるというぶっ飛んだ隠し玉的な音楽表現であるが、メンバーへの負荷も高い言わば”禁じ手”的なパフォーマンスに思わず「そこまでやるか⁉︎」と言ってしまいそうになった。とにかく度肝を抜かれた。

 ミグマシェルター幕の内弁当を喰らって圧倒されたのと同時に、メンバーの限界を極めたパフォーマンスの気迫や圧が画面を超えて伝わってくるのを感じてゾクゾクした。彼女たちのチャレンジャブルな姿勢と実現力こそが、配信という壁を乗り越えて新時代の最高配信レイヴを作り上げた核だと言っても過言では無いだろう。(私個人「RAVE AGAINST 01」は現体制ミシェルの最高到達点と言ってもいいレイヴだと思った)

 

 もう少し今回の配信レイヴを俯瞰した視点で見てみよう。今回の配信にも深く関わって下さった映像&配信チームの加賀さんが書かれた「STAY HOME時代の“ライブ配信”飽和状態のなかで考えた」という記事の中で、興味深い話がいくつもなされていた。

とにかくまずはスタート地点として、ライブ配信を見た人が、いずれは生でこれを観たいと思える表現でなけらばならないし、生で観るのでは得られない、べつの価値を提供できていないならやらないほうがよい。と思っています。

また、観る側の視点にたって、ライブ配信でなければ得られない体験、コンテンツになっていないなら、ちゃんと時間をかけて編集したものをアップしたほうがいいわけで、なぜライブ配信でやるのか? なにを観せたいのか、そのために、選択した配信プラットフォームのUI、UXは適切なのか? については、ちゃんと考える必要があるでしょう。

技術はもちろん必要ですが、いちばん大切なのは、どんなユーザー体験を提供できるのか、だと考えています。

STAY HOME時代の“ライブ配信”飽和状態のなかで考えた|Makoto Kaga (Project92.com)|note

 「いずれは生でこれを観たいと思える表現」でありながらも「生で観るのでは得られない、べつの価値を提供」する必要がある。まさに「RAVE AGAINST 01」は、生で観られない(しかもコンテクストを汲んだ)”視点”を導入しながらも、ファンとのインタラクション(レイヴ中の支援者向けのメッセージやレイヴ後のオンライン特典会など)もしっかり考慮され、かつそれがライブの流れを崩すことなくバランスよく配分された、いわば理想形と言ってもいいライブ配信だったと言えるのではないだろうか。ミシェルのプロデューサーの田中氏やメンバーも語っていた”ライブと配信の違い”への理解が、私自身も素人ながらに深まった気がした。

 そこに更にミシェルの世界観を強固にする”空間演出”や”照明演出”が加わったのだから鬼に金棒、ミグマシェルターにアーティスティックで奇怪な祭狂演出である。

 

 最後に、満を持して7月下旬にリリース日が確定した『ALICE』への期待感を込めて終わりにしたい。「RAVE AGAINST 01」でも披露された以下7曲。

  • in Wonderland
  • Rabiddo
  • Egg Head
  • Y
  • It doesn’t matter
  • Unbirthday
  • QUEEN

 ひとつは、これまでのMIGMA SHELTERの楽曲以上にコンセプチュアルで物語性があるということ。もちろん全10曲を通してアリスの物語が完成すると思うが、1曲の中にも音と詞で表現した面白い展開が多分に取り込まれていることが分かった。逆に言えば、オムニバスのストーリーを読み進めていったら、大きな物語が完成するイメージ。それはまさに『不思議の国のアリス』の展開そのものだろう。

 そしてもうひとつ、既存のミシェル楽曲には無い明るい楽曲も用意されているということ。それでいながら、やはりアタマはしっかりとぶっ壊させてくれるミグマシェルター印のサイケデリックトランス楽曲。ダークな方向のガンギマリではなく、ヒカリの方向でもガンギマれることを証明してくれた。

 

「家でアタマぶっ壊れるまで踊れ!」

 今回の「RAVE AGAINST 01」のポスターにも書かれてるフレーズだが、ミシェルは本当に家でアタマをぶっ壊せることを証明してくれた。私自身この日のために80インチのスクリーンとプロジェクター、振動機能付きの重低音強化ヘッドホンをこしらえて配信レイヴに臨んだが、気づけばライブ会場同様に踊り狂い頭を揺らしながらミシェルレイヴを家にいながら"体感"していた。

 生と死の狭間ギリギリの限界点を攻めながら挑戦的なレイブを見事成し遂げてくれたミシェルメンバー、ミシェルが一番輝く形で世界観を構築して下さったクリエイター陣・スタッフ陣には本当に頭が上がらない。数ヶ月ぶりに”完全”に日常を忘れて祭狂空間に没入させてくれありがとうございました。

 次の配信レイヴ、そしてもちろん今回の配信で腹の底から行きたくなった"生レイヴ"を体験できる日が来ることを楽しみにしています。

 強いて配信レイヴの後悔を挙げるとするならば、終わってから産地村人(ミシェルのファン)と一緒に飲みに行って感想を直接共有できないこと。そこはまぁ私達自身も工夫しながら日常になりつつある非日常を上手いことサヴァイヴしていかなくちゃいけないのだろう。

 

今回の配信が何と冒頭30分も見れちゃう!(18:20~から)

MIGMA SHELTER -RAVE AGAINST 01- 無料配信(Some free viewing)

www.youtube.com

続きは7/16(木)まで1000円チョイで見れちゃう!

perfectmusic.zaiko.io