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MIGMA SHELTERのレイヴが面白い

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MIGMA SHELTERというアイドルが面白い。何が面白いのかというと全てが面白い。しかし、それでは些か乱暴なので、あえて一言で表現するならば「超日常的な祝祭感」とでも言えばいいのだろうか。「頭ブッ壊れるまで踊ろうぜ」というキャッチコピー宜しく、見て最高、踊って最高。MIGMA SHELTERは、非日常の音楽で踊る悦びをフロアを巻き込みながら享受させてくれるグループである。

彼女たちの音楽の話をすると、MIGMA SHELTERのライブは「レイヴ」と呼ばれており、そのジャンルは「サイケデリックトランス」という類のもののようだ。レイヴとは本来、サイケデリックトランスやその元になったゴアトランスというジャンルにおいて盛んに行われてきた野外パーティのことらしい。レイヴは「高揚感」「催眠的な快楽」を求めて集まる「祝祭の場」として重要視されてきたとWikipediaにはある。サイケデリックトランスとは、非日常的な体験と密接に絡む音楽なのである。

MIGMA SHELTERのレイヴにおいてもその核は同じである。日常を忘れ音楽に没頭し悦びを享受できる祝祭の場こそがMIGMA SHELTERのレイヴなのであり、我々にとっては最高の快楽体験の空間になるのだ。

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本来のレイヴは我々にとって馴染みのない空間であり、しばし大麻や薬物などとセットで語られることも多いが、MIGMA SHELTERはもちろんそういったものとは無縁なので安心して欲しい。むしろ、MIGMA SHELTERは「アイドル」だからこそ、本来触れる機会が少ないけど、魅力的なジャンルであるサイケデリックトランスという音楽を、安全に切り取って、かつ分かりやすく提供してくれているのだ。

彼女たちの 「超日常的な祝祭感」を構築する要素に「音楽」があることを説明した上で、もう一つ重要な「ダンス」について説明したい。彼女たちは、表現するに相当のエネルギーを要するであろう壮大な音楽を、十分に全うするだけの高いダンスパフォーマンススキルを兼ね備えている。

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そもそもMIGMA SHELTERのレイヴは、諦観や無常観、神や宇宙を想起させる世界観を放つ。ステージでは巫女が舞い踊り、儀式的に怪しく世界が構築される。しかし、これらを表現するに当たり、中途半端なパフォーマンスでは音楽と乖離した表現となってしまう。繰り返しになるが、彼女たちは高いパフォーマンスを緻密にこなすだけの実力があるからこそ、MIGMA SHELTERが魅せる光景には説得力があり、見る人に突き刺さる本物に仕上がっているのだ。

また、高いダンスパフォーマンスに加えて、メンバーそれぞれ異なるダンスの様相もサイケデリックトランスの世界観を構築するのに一役買っていると思っている。タマネは電光石火かつ切れ味の鋭いダンスだし、ユブネは体の曲線をしなやかにかつエロティックに使う。レーレは腕先、髪先まで神経が通っているような美しさと迫力があり、ブラジルが正統派の軸が定まったダンスだとすれば、中心に立つことの多いミミミユは手足の長さを活かしたダイナミックなダンスが際立つ。9月に加入したナーナナラもスプリットが広くどこか愛らしさのあるダンスなど新しい個性が今後開花するのが楽しみである。

このようにMIGMA SHELTERはメンバー毎にダンスの個性があり、特定の一人を追っても楽しめるようになっている。しかし、その個性がひとたびステージ上で混ざり合い化学反応を引き起こせば、様々な音をミックスして作り上げるトランスという音楽に非常にマッチし、MIGMA SHELTERだけにしか出来ない唯一無二のパフォーマンスになる。無機的な音楽の中で個性が爆ぜ合い有機的に踊り狂い混ざり合うさま。それに、決まりきったルーティンの振りが少なく、複雑なフォーメーションが時に合わさることで、MIGMA SHELTERの真骨頂が生まれているのだろう。

ちなみに、MIGMA SHELTERの魅力は、メンバーの「表情」にもあるので注目して見て欲しい。表情も含めて表現の世界なのである(あと顔がみんな素晴らしく偉い)。

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このように、MIGMA SHELTERは音楽だけでなく、ビジュアルでもサイケデリックトランスを体現できるグループなのである。素晴らしいトランスという音楽への入口を、そのアイドル性を持って分かりやすく楽しく伝えてくれる存在。それこそがMIGMA SHELTERなのであり、私が彼女たちを面白いと思う理由なのである。

ちなみに私はMIGMA SHELTERのレイヴに通い始めて2ヶ月なのだが今後も通いたいと思っている。その理由のひとつには、ノンストップのレイヴで曲の繋ぎが毎回異なっていることがある。毎回違う音楽を体験できることがライブに何回も足を運びたくなるキッカケのひとつだと私は思うからだ。もちろんメンバーの表情や動き、伝わってくる覇気などがレイヴごとに異なっており、本当はそれを一番楽しみにしていることは言うまでもない。

そして、何だかんだ接触が楽しい。踊り狂っている時は世界観を構築するために徹底して鬼気迫る表情で、音楽のテイストがテイストということもあり最初は怖い人の集団なのかと敬遠していた。しかし、その真逆。みんな個性的、いやもはや癖が強過ぎるくらいの面々。あと面白くてみんな優しい。その個性が分かるブログもいい意味でアイドルらしくなくて面白くてお薦めだ。

migmashelter.amebaownd.com

今後は個人的2019年ベストアイドル楽曲の「TOKYO SQUARE」のようなモチーフフルな楽曲も楽しみだし、何かまた新しいサイケデリックトランスのジャンルを開拓してくれるのではないかと期待している。

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来春には新曲のみ収録されたアルバム『ALICE』がリリースされ、今はその制作費を稼ぐためのクラウドファンディングが行われている。メンバーの「矯正前の歯の模型」や「小学校の頃に使っていたランドセル」「自宅で使っていた炊飯器」などが買えるプランがあるのが実にサイケデリックで面白い。

camp-fire.jp

宣伝染みてきたので終わりにするが、サイケデリックトランスというジャンル自体がイギリスやブラジルなど海外で特に評価されているジャンルということなので、いつかMIGMA SHELTERが世界に羽ばたく日を楽しみにしている。

 

オススメのレイヴ動画

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今回ブログを書くにあたり、素晴らしいレイヴ動画をYouTubeより幾つか拝借しました。いつも楽しく拝見させていただいております。